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「頑張ったのに負けた」、どう受け止めてあげる?運動会シーズンの声かけ

「次は頑張ろう」という励ましは、子どもの悔しさを飛び越えてしまうことがあります。気持ちを受け止めてもらえた経験があるからこそ、子どもはその後の言葉にも耳を傾けやすくなります。言語聴覚士が、運動会シーズンに使える、悔しさを受け止める3つの声かけをご紹介します。

1. はじめに

運動会のシーズンになると、「一生懸命練習していたのに、本番でうまくいかなかった」という場面に出会うことが増えます。かけっこで思うような順位が取れなかった、リレーでバトンを落としてしまった——そんなとき、子どもの悔しそうな顔を見て、どう声をかければいいか迷ってしまう保護者の方も多いのではないでしょうか。「次は頑張ろうね」と励ましたつもりが、かえって子どもの表情が曇ってしまった、という経験がある方もいると思います。今回は、「頑張ったのに負けた」という悔しさを、どう受け止めていけばよいかについてお伝えします。

2. ケース紹介:励ましの言葉がうまく届かなかった、はるかちゃんの運動会

はるかちゃん(小学1年生)は、かけっこの練習を毎日のように頑張っていましたが、本番では4人中3位でした。ゴールした瞬間、悔しそうな顔で黙り込んでしまったはるかちゃんに、お母さんは「頑張ったじゃない!次はきっと1位になれるよ」と声をかけました。ところが、はるかちゃんはそれ以上何も話さなくなり、お弁当の時間になっても元気がないままでした。お母さんは「励ましたつもりだったのに、逆効果だったみたい」と戸惑ったそうです。後から話を聞くと、はるかちゃんは「次は頑張ろう」という言葉よりも先に、「悔しい」という今の気持ちを、ただ分かってほしかったのだと分かりました。

3. なぜ、励ましの言葉が届かないことがあるのか

大人は、子どもが落ち込んでいる姿を見ると、少しでも早く元気づけたいという気持ちから、「次は頑張ろう」「大丈夫だよ」と、つい先回りして励ましの言葉をかけてしまいがちです。しかし、子どもにとって悔しさはまだ受け止めている最中の気持ちであり、それを飛び越えて前向きな言葉をかけられると、「自分の気持ちを分かってもらえなかった」と感じてしまうことがあります。また、子どもは「頑張ったこと」と「結果」を、まだうまく切り分けて捉えられない時期にあります。結果がすべてのように感じられてしまうからこそ、「頑張ったね」という言葉だけでは、本人の悔しさとかみ合わないことがあるのです。

4. 悔しさを受け止める、運動会シーズンの声かけ

① まず「悔しかったね」と、気持ちをそのまま言葉にする
励ましの言葉をかける前に、「悔しかったね」「残念だったね」と、今の気持ちをそのまま言葉にして伝えてみましょう。気持ちを否定せずに受け止めてもらえた経験があるからこそ、子どもはその後の言葉にも耳を傾けやすくなります。
② 結果より先に、取り組んできた過程を聞く
気持ちを受け止めた後は、「どんな練習したの?」「がんばったところ、どこだった?」と、結果ではなく取り組んできた過程について聞いてみましょう。結果の話から始めないことで、子ども自身も、頑張ってきた自分を振り返りやすくなります。
③ 当日ではなく、落ち着いた後のタイミングで振り返る
「次はどうしたい?」という問いかけは、気持ちがまだ落ち着いていないタイミングで聞いても、答えが返ってきにくいものです。運動会の当日ではなく、1日、2日と時間を置いてから、「そういえば運動会のとき、こうだったよね」と、落ち着いたタイミングで振り返ってみましょう。それでも言葉が出てこないときは、「また練習してみる?」「次は違う種目にしてみる?」のように、いくつか選べる形で聞いてみるのもおすすめです。自由に答えるよりも、選ぶところから始めるほうが、子どもにとって次への気持ちを言葉にしやすくなります。

5. 言語聴覚士の視点から

悔しさや悲しさといった気持ちを、まずそのまま言葉で受け止めてもらう経験は、子どもが自分の気持ちを整理する力を育てる土台になります。気持ちを飛び越えて励まされると、子どもは自分の感情を言葉にする機会を失ってしまい、かえって気持ちの整理がしにくくなることがあります。はるかちゃんの場合も、「悔しかったね」とまず気持ちを受け止めてもらえたことで、少しずつ自分から運動会の話をするようになりました。励ましの言葉は、気持ちを受け止めた後に届けるからこそ、本人の心に届きやすくなります。

6. まとめ

「頑張ったのに負けた」という悔しさは、励ましの言葉で急いで上書きするのではなく、まずそのまま受け止めてあげることが大切です。気持ちを言葉にする、過程について聞く、次への考えを本人から引き出す——この3つの声かけから、お子さんの悔しさに寄り添ってみてください。お子さんの気持ちの表現や、感情との向き合い方についてもっと詳しく相談したいという方は、ウォルトのことばアカデミーの無料体験をぜひご利用ください。お子さん一人ひとりの気持ちに合わせて、次の一歩を一緒に考えていきます。