Column コラム

ゲームばかり"は悪いこと?言語聴覚士が本音で語る、デジタルと子どもの言葉の関係

「ゲームばかりしていて大丈夫かな」「もっとお友達と関わってほしいのに」——そんな悩みを抱えていませんか?実はゲームそのものが言葉の発達を妨げるわけではありません。大切なのは、ゲームとどう付き合うかです。言語聴覚士が、ゲームを言葉の育ちにつなげる3つの工夫をお伝えします。

1. はじめに

「ゲームばかりしていて大丈夫かな」「もっと外で遊んだり、お友達と関わったりしてほしいのに」——そんな悩みを抱える保護者の方は少なくありません。ゲームというと、どうしても「言葉の発達を妨げるもの」というイメージを持たれがちです。でも、言語聴覚士の立場から本音を言うと、ゲームそのものが悪いわけではありません。大切なのは、ゲームとどう付き合うかです。今回は、ゲームと子どもの言葉の関係について、少し違う角度からお伝えします。

2. ケース紹介

そうまくん(小学2年生)は、平日は学校から帰るとすぐにゲームを始め、気づけば2〜3時間ぶっ通しで遊んでいることもありました。お母さんは「言葉が遅れているのに、ゲームばかりで大丈夫なのか」と不安になり、何度もゲームをやめさせようとしましたが、そのたびに親子で言い合いになっていました。ところがある日、そうまくんが友達とオンラインで対戦しながら「先そっち行って!」「今の見た!?すごくない!?」と、家では聞いたことがないくらい活発にやり取りしている様子を目にします。お母さんは「ゲームの中では、こんなに言葉が出るんだ」と驚いたそうです。

3. ゲームばかりは本当に良くないのか

「ゲームばかりで言葉が育たなくなる」という心配には、実はいくつかの誤解が含まれています。ゲームの内容によっては、状況を説明する、相手に指示を出す、感情を共有するなど、会話に近いやり取りが自然に生まれる場面が少なくありません。そうまくんのオンライン対戦のように、ゲームがきっかけで言葉が引き出されることもあります。一方で、本当に注意したいのは「ゲームをしているかどうか」ではなく、「ゲームの時間が、他の大切なやり取りの時間を丸ごと奪っていないか」という点です。食事中もゲームの話しかしない、家族との会話が極端に減っている、といった状態が続くと、言葉を使う機会そのものが減ってしまいます。つまり問題は、ゲームそのものではなく、生活全体のバランスにあるのです。

4. ゲームとの付き合いを言葉の育ちに繋げる3つの工夫

① ゲームの内容を一緒に聞いてみる
子どもは、好きなことについては驚くほど言葉が出てきます。まずは「それどんなゲームなの?」「さっきの、どうやったの?」と、ゲームの内容を教えてもらう時間を作ってみましょう。説明する、順序立てて話す、という力を、子どもの得意分野の中で自然に引き出すことができます。

② 「一緒にプレイする時間」を作る
ゲームを取り上げるのではなく、あえて一緒にプレイしたり、隣で見守ったりする時間を作ってみましょう。同じ画面を見ながら「危ない!」「やった!」と気持ちを共有する経験は、対面でのやり取りの練習にもなります。ゲームを共通の話題にすることで、親子の会話量そのものを増やすことができます。

③ 「ゲームの前後」に会話の時間を挟む
ゲームを始める前や終わった後に、「今日は何するの?」「どうだった?」と短いやり取りを挟む習慣をつけてみましょう。ゲームの時間を減らすことよりも、ゲームの前後に会話の機会を意識的に増やすほうが、無理なく続けやすい工夫です。

5. 言語聴覚士の視点から

「ゲーム=悪いもの」と決めつけてしまうと、子どもが本来持っている言葉の力に気づきにくくなってしまいます。大切なのは、ゲームを完全に排除することではなく、ゲームの中にある「話したくなる瞬間」を見逃さずに拾っていくことです。そうまくんの場合も、ゲームを制限する方向ではなく、「ゲームの話を教えてもらう」時間を意識的に増やしたところ、家庭内での会話量が少しずつ増えていきました。ゲームを敵にするのではなく、言葉を引き出す入り口として活用していく視点が、家庭での関わりにはとても役立ちます。

6. まとめ

ゲームばかりという状態そのものが問題なのではなく、そこから会話ややり取りの機会が失われてしまうことが本当の心配どころです。ゲームの内容を聞く、一緒にプレイする、前後に会話を挟むといった工夫から、ゲームを言葉の育ちに繋げていってあげてください。お子さんの言葉の発達や、ゲームとの付き合い方について具体的に相談したいという方は、ウォルトのことばアカデミーの無料体験オンラインレッスンをぜひご利用ください。ご家庭の状況に合わせて、無理のない関わり方を一緒に考えていきます。