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【発語がない子ども】言語聴覚士が解説|家庭でできる発語を促す接し方4ステップ

発語が見られない子どもに対して、どのように発語を促していくか、実践的なヒントを言語聴覚士がご紹介します。

1. 概要

子どもが成長していく中で、言葉がなかなか出ない様子がみられると少し心配ですよね。発語の道のりは個人差があり、ゆっくりの子がいれば早い子もいるのが事実です。ただ、周りから見て「うちの子は遅いのかな?」と不安になることも。この記事では、発語が見られない子どもに対して、どのように発語を促していくか、実践的なヒントをご紹介します。

2. 発語の促し方の4STEP

①ことばの準備運動
発語には、聴く力・真似する力・コミュニケーションへの意欲など、たくさんの力が必要です。発語が出る前に育てたい力には、以下のようなものがあります。

• 音に反応する力
 名前を呼ばれて振り向く、音楽に反応する
• 模倣する力
 動作や表情をまねる
• 共同注意
 相手と一緒に同じものを見る・遊ぶ
• やりとりの楽しさ
 「伝えたら返ってくる」という経験

これらの力をじっくり育てることで、「話す準備」が整っていきます。 まずは「人」に興味関心を向けられるように場面・状況を設定しながら、他者と関わることの楽しさを感じられるようにしていきましょう。

②.理解しやすい方法を探っていく
発語がない子どもには、言葉だけのやり取りが伝わりにくいことがあります。視覚的な手がかりを使うことで、相手が何を伝えたいか理解しやすくなります。また、その視覚的手がかりを使って伝えようとする姿に注目することで、他者への意識が高くなっていくのです。
例えば、絵カードや写真で伝えたい様子を見せる事や「パチパチ」「ブーン」など一緒に伝えることで音と動作をリンクさせる等、発語がないお子さんは、複数個の感覚を使って伝わりやすいように工夫をしていくことが大切です。

③.言いやすい言葉からはじめる
少しずつ他者に意識が向き、動作や言葉を真似するようになってきたら、まずは言いやすい簡単な音や言葉から始めていきましょう。

• まねしやすい音:「パ」「マ」「バ」など唇を使う音 (例:パパ、ママ、バイバイ)
•興味がある単語:好きな食べ物・おもちゃの名前(例:アンパン、バナナ、車)
•音の繰り返しがある言葉:「ワンワン」「ブーブー」など

子どもが発した不明瞭な音も、その子自身が何かを伝えようとしている様子があれば、「今、○○って言えたね!」「上手だね」と褒めるようにしましょう。

④スキンシップ遊びを多く取り入れる
発語がない子どもにとって、大切なのは「人と遊ぶことが楽しい」「人と関わることが楽しい」と感じるような関わり方です。そのためには、その子が好きな遊びを繰り返し経験させることが重要です。スキンシップ遊びのなかでも、高い高いやくすぐり、回転遊びなどさまざまなものがあるので、その子の好きな刺激を探して繰り返していきましょう。「もっとやりたい」「もう一度」といった要求をどんどん引き出していくことで、相手に伝えたい気持ちが育まれていきます。言葉では言えなくても、動作や身振り手振り・表情等で伝えようとするだけでコミュニケーションの能力は育っています。

3. まとめ

今回は、発語が全くない子への発語の促し方についてご紹介しました。その子の発達状況に合わせて、関わり方も変わってきますが、一番に大切なのはお子さんとの信頼関係です。お子さんと動作や表情などを交えながらたくさんコミュニケーションをとっていきましょう。

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