一斉指示が通らないのはなぜ?就学前に家庭でできるサポートと練習方法
一斉指示が通らない子どもの原因と、就学前に家庭でできるサポート方法を解説。具体的な練習法や視覚支援の工夫も紹介します。
1. はじめに
保育園や幼稚園では、集団行動の中で先生の「一斉指示(先生が全体に向けて伝える指示のこと)」を理解し、実行することが求められます。しかし、発達障害や個別の発達課題を抱えるお子さんにとって、一斉指示を理解し実行することは簡単ではありません。例えば、先生が「みんなでお片付けをしましょう」と言っても、何をどこに片付けたらいいのかがわからないこともあります。こうした場面は、小学校に入ってからも影響を及ぼす可能性があり、集団行動に対して苦手意識を持つ要因となることもあります。
そこで今回は、子どもが一斉指示に合わせて動けるようになるための就学前の対策についてお話しします。
2. 一斉指示が通りにくい原因
一斉指示が通りにくい原因についてはいくつかあります。
①注意力の不足
注意力が分散しやすいお子さんには、全体に対して指示が出された際に、指示する相手に注目を向けられずに聞き逃してしまうことがあります。
特に、周囲の音や視覚的な刺激に敏感な子どもは、他のことに気を取られてしまい、指示をキャッチすることが難しくなります。
②理解面の遅れ
理解する力が弱いと指示内容の意味が分からずに、どう行動したらいいのか分からないことがあります。
また、「みんなで片付けしましょう」といった抽象的な表現になると、片付けの手順や場所が分からずに混乱してしまい固まってしまうことも。
③視覚的な支援策の必要性
言葉だけで指示を理解することが難しい子どももいます。特に、視覚優位な発達特性を持つ子どもにとっては、言葉だけではなく具体的な動作やイラスト・手順書が必要になる場合があります。
3. 一斉指示に対応できるようになるための対策
一斉指示が苦手な子どもが、就学前に少しずつ慣れていくためには、ご家庭や園での工夫が大切です。以下のポイントを参考に、子どもが一斉指示を理解しやすくなる環境づくりを進めていきましょう。
①指示を短く、具体的にする
一斉指示が通らない子どもには、指示の内容を短く、できるだけ具体的に伝えることが効果的です。
例えば「みんなで片付けて」ではなく、「おもちゃをこの箱に入れてね」と具体的にどの行動をすべきか示すことがポイントです。
また、複数の指示を一度に出すと混乱することがあるため、1つの指示を終えたら次の指示を出すなど、段階的に進めることも有効です。
②視覚支援を活用する
言葉だけの指示が難しい場合は、視覚的なサポートを取り入れると良いでしょう。例えば、指示内容を絵カードや写真で示すことで、子どもが具体的なイメージを持ちやすくなります。
視覚的なサポートは、指示を受け取るための補助として非常に役立ちます。例えば「お片付け」の場面では、片付けている様子の絵や、片付ける場所の写真を見せることで、子どもが何をすべきか理解しやすくなります。
③楽しく取り組める練習をする
一斉指示に従う練習は、遊びの中に取り入れると効果的です。例えば、「みんなで鬼ごっこをするよ。鬼がタッチしたら動かないでね」といったルールのある遊びを通して、指示を守る練習が自然にできます。また、音楽に合わせて体を動かす遊びやゲームも、指示に従う力を育てるのに役立ちます。こうした小グループでの遊びを通して、指示を聞いて動くことの楽しさを感じてもらうことが大切です。
④家庭でのルールを作る
ご家庭でも、簡単なルールを設けて、指示に応じる習慣をつけることがポイントです。
例えば、「おもちゃは遊んだら片付ける」「ご飯を食べる前に手を洗う」といった日常生活のルールを設け、そのルールに応じる練習をします。ルールが守れたときは、できていた経過をほめる等を与えることで、子どものモチベーションを高めましょう。
ほめる際には「おもちゃを箱にお片付けできたね」といった具体的な行動をほめることで、次回も同じ行動を取りやすくなります。
⑤支援機関の活用
もし、ご家庭での対策だけでは十分な効果が感じられない場合は、児童発達支援や放課後等デイサービスなどの専門機関を活用することも考えてみましょう。これらの施設では、一斉指示が苦手な子どもに対して、ソーシャルスキルトレーニングを提供することができます。専門家のアドバイスを受けながら、ご家庭での対応を見直すことも非常に有効です。
4. まとめ
一斉指示が通らないお子さんにとって、就学前に指示を理解する力を育てることは、学校生活をスムーズにスタートするための大切な準備となります。指示を短く具体的にすることや、視覚支援を取り入れること、楽しく指示に従う練習をすることで、少しずつその力を伸ばすことができます。すぐに結果が出なくても焦らず、長い目で見て取り組むことが大切です。ご家庭での工夫や支援機関のサポートを活用しながら、子どもの成長を温かく見守っていきましょう。