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聴覚過敏のある子どもの学習の悩みとは?学校でできる対処法を言語聴覚士が解説

聴覚過敏のある子どもは、教室の音や周囲の雑音が原因で学習に集中できないことがあります。本記事では、学校でよくある困りごとや具体的な対処法、合理的配慮の例を言語聴覚士がわかりやすく解説します。

1. はじめに

勉強に集中できない、勉強をしているとなぜかすぐに疲れてしまう…など、子どもの学習に関連する困りごとがあると、「限局性学習症(学習障害・LD)」があるのではないかと考える方も多いのではないでしょうか。
しかし、そのほかの発達障害の特性から、限局性学習症がなくても学習に困難を感じる場合もあります。特定の領域の学習ができない限局性学習症とは異なり、環境に左右される原因によって学習困難が起こることがあります。
実際に支援の現場でも、診断はついていませんが人や環境により学習面に困り感があり、療育に繋がるお子さんもいらっしゃいます。

今回は環境の中の「聴覚過敏がある子どもの学習の悩み」について、原因や解決方法などを解説します。

2. 聴覚過敏があるお子さんの学習の悩み

聴覚が過敏になると、小さな音まで聞こえやすかったり、特定の音に対してつらさを感じやすいことがあります。聴覚が過敏になると、意識していなくても小さな音まで聞こえやすくなったり、特定の音に対するつらさや不快感が強くなるケースがあります。また、人は環境音や周辺音から自分が必要な情報を拾って感知することができますが、聴覚過敏のあるお子さんはたくさんの音が同時に入ってきて、聞きたい情報がかき消されてしまう場合があります。保護者の方から聴覚過敏から学校での学習面での困り感について相談を受けることがあります。次の章では、実際に相談に挙がったケースの対応法について紹介します。

3. 対処法について

①教室の中がうるさい場合の対処法は?
教室の中がうるさいと集中できない場合があります。聴覚過敏の場合、先生が話していることに集中したくても、誰かの話し声、窓の外の音や空調の音などが重なり合い、どの音に集中したらいいのかが分からなくなってしまいます。また、椅子と床がこすれる音や、特定のお友達の話し声など、苦手な音から疲労感に繋がりやすい事もあります。

解決策:教室の雑音は多くのお子さんにとって気が散る原因となります。椅子の脚にカバーをつける(使い古しの硬式テニスボールを切って脚にかぶせるなど)といった工夫がおすすめです。また、イヤーマフや耳栓をうまく活用するのもよい方法です。イヤーマフは周りからの見え方について気にするお子さんもいらっしゃいます。聴覚過敏=イヤーマフではなく、お子さん自身が装用を試しながら、判断することをおすすめします。

②大きな音が苦手な場合の対処法は?
急に大きく響きわたるような音、たとえば陸上競技のスタートのピストル空砲、避難訓練のサイレンなどが鳴ると、誰でもびっくりするものですよね。元々、その音自体や音量に対する苦手さがあり、それに加えて予告なく音が鳴るような状況だと、周囲の想像以上につらく感じている場合があります。その結果としてその音に対する過敏さが強まってしまい、気持ちを切り替えることが難しくなってしまいます。

解決策:大きな音が出る場合、予測できるものについては、事前に個別または集団指示にて伝えてあげることが望ましいです。説明を受けてもやはりその音を聞くのがつらい、という場合には我慢をせずに、大きいサイレンの音が鳴る避難訓練の時間だけ休む、運動会のピストルを旗に変えてもらうなどの配慮をしてもらうことも検討できる1つかと思います。

③たくさんの音がすべて聞こえてしまって疲れる場合の対処法は?
たくさんの音が全て聞こえることで疲労感を感じる場合があります。必要な情報に集中してほかの音を小さくするような脳の機能がうまく働かないと、教室のさまざまな音を聞き取ってしまいます。そんな状況でも特定の音声、授業中なら先生の声だけになんとか集中して聞こうとすることで、疲れてしまう場合があります。また、聞き取ることに努力が必要な子どもの場合、疲れてぼんやりしてしまうことで、集中していないという誤解を受けることがあります。

解決策:生活音などの騒々しさが原因の場合は、ノイズキャンセリングイヤホン・ヘッドホンが有効です。耳栓、イヤーマフなども効果があります。音に対する直接的な工夫だけではなく、帰りのホームルームで明日の持ち物を口頭だけではなく黒板にも書いてもらうなど、聞きとりにくさを前提とした視覚的なサポートを受けられると困りごとが軽減されるかと思います。

4. まとめ

今回は、聴覚過敏があるお子さんの学習の悩み・対処について実例を交えて紹介しました。家庭よりも更に集団の環境下では困り感が大きくなりやすい事があります。学校では、合理的配慮がなされるように義務付けられています。まずは、お子さんの困り感を学校等に相談し、できる工夫の範囲を探りながら解決策を導き出すことが大切です。ウォルトのことばアカデミーでは、言語聴覚士が一人ひとりの特性や状況をお聞きしながら、困り感について対応や支援策について一緒に考えていきます。「この関わり方で合っているのかな?」「他にできることはあるかな?」と感じたときは、それが相談のサインです。お子さんとご家族に合ったペースを一緒に見つけていけるよう、どうぞ気軽に扉をノックしてみてください。